【新聞掲載】スポーツと暴力根絶して楽しめる環境に
5月18日 西日本新聞掲載
ハラスメントについて掲載がありました。
残念ですがまだまだハラスメントが無くなりません。
スポーツが好きでやりたい子供達が多くいる中、ハラスメントにより子供達が被害を受けています。
早くなくなるように、大人の力で何とかしたいと強く思っています。
【掲載内容】
スポーツと暴力 根絶して楽しめる環境に
<5/18(日) 西日本新聞掲載>
まばゆい太陽、すがすがしい風を感じながら体を動かすのは心地よい。スポーツの良さは楽しむことにある。
その対極である暴力や暴言といったハラスメントがスポーツ界からなくならない。
2024年度に日本スポーツ協会の窓口に寄せられた暴力、パワハラ、セクハラなどの相談は536件だった。統計を開始した14年度以降で最も多く、増加傾向が続く。
ハラスメントを排除する社会意識の高まりとともに、窓口の認知度が向上したためとみられる。
相談内容のうち、殴る、蹴るなどの直接的な暴力は13%で近年は10%台で推移する。増加しているのは暴言だ。
24年度は最多の41%に上り、指導者による選手の差別、チームからの退団強要といった相談も増えている。陰湿化する実態がうかがえる。
増える相談が浮き彫りにするのは「愛のむち」「叱咤(しった)激励」と称し、師弟関係や上下関係を背景に暴力、暴言を正当化する指導者の存在だ。
勝つためには厳しい指導が必要だと、行き過ぎた言動を黙認する選手の保護者もいる。
このため公立中学校の部活動の地域移行では、指導者の資質が懸念されている。
スポーツに関わる暴力や暴言、勝利至上主義を一掃するには、指導者はもちろん、周囲の大人の啓発を重ねなくてはならない。
被害者の約8割は声を上げづらい高校生以下の子どもたちだ。
小学生が半数近くを占める。
多感な年頃に理不尽な指導や対応をされると、スポーツそのものが嫌いになったり、心身の成長に悪影響を与えたりする恐れがある。
スポーツ庁の調査によると、小中学生の体力は新型コロナウイルス禍前の水準に戻りつつある。
「運動は好き」「体育・保健体育は楽しい」と答えた児童、生徒が増加しているのは幸いだ。
野球やサッカー、バスケットボール、バレーボールなど海外のチームで輝きを放つ日本人選手が増えている。
五輪をはじめ、国際大会における活躍も目覚ましい。
スポーツに対する子どもたちの関心が高まっている今こそ、安心してスポーツが楽しめる環境整備を急ぎたい。
日本オリンピック委員会などの主要スポーツ団体は13年に暴力行為根絶を宣言した。
高校バスケットボール部の主将が体罰を受けた後に自殺した事件や、柔道女子日本代表選手に対する暴力指導をきっかけに意識改革を進めてきたが、道半ばである。
国会では超党派の議員連盟が、スポーツ界から暴力やハラスメントを根絶することをスポーツ基本法改正案に明文化する方針だ。今国会中の成立を目指す。
健康寿命を延ばす上でも、スポーツの役割は大きい。スポーツに関わる全ての人が暴力を許さないとの意識を徹底し、実践していきたい。